ブルース・ハープとも呼ばれている10ホール・ハーモニカで使われるスケール設定をチューニングと呼んでいます。
最も一般的なスケール設定はリヒター・チューニングと呼ばれるもので、殆どの10ホール・ハーモニカの既定のチューニングになっています。普通は、このチューニングとベンディングと呼ばれる音程を半音から1音半下げる演奏テクニックで殆どの曲調の演奏が可能になります。しかし、曲調によっては高度な演奏テクニックを多用しなくてはならない場合も出てきます。
そこで、ある種の曲調で高度な演奏テクニックを多用しなくても済むようなスケール設定の特殊チューニングがいろいろ考え出されています。ただし、特殊なチューニングによる演奏を試そうとしても、そういったチューニング済みのハーモニカの入手は難しい場合が多いです。
「CCハープ」というiPhone向けのハーモニカ・アプリには、以下に記載されているような色々なチューニングが内蔵されています。記載されているチューニング名のほとんどはポピュラーな名前ですが、一部はアプリ独自の名前です。
チューニング名の下に、Cキーの場合のスケール(音名)と各ホールの吹・吸パターンを示します。
吹音 | C | E | G | C | E | G | C | E | G | C |
吸音 | D | G | B | D | F | A | B | D | F | A |
パターン | リヒター |
最も一般的な10ホール・ダイアトニック・ハーモニカのチューニング。
セカンド・ポジションがミクソリディアン・モードで、ブルースやロックミュージックに最適なスケールになります。
吹音 | C | E♭ | G | C | E♭ | G | C | E♭ | G | C |
吸音 | D | G | B♭ | D | F | A♭ | B♭ | D | F | A♭ |
パターン | リヒター |
メジャーチューニングの3、6、7度が半音下がります。
ファースト・ポジションがエオリアン・モードなので短調の曲を楽に演奏できます。
吹音 | C | E♭ | G | C | E♭ | G | C | E♭ | G | C |
吸音 | D | G | B | D | F | A♭ | B | D | F | A♭ |
パターン | リヒター |
メジャーチューニングの3、6度が半音下がります。
ナチュラル・マイナーの7度を導音として機能するように半音アップしたものです。
短調のフォークソングなどの演奏に適しています。
吹音 | C | E♭ | G | C | E♭ | G | C | E♭ | G | C |
吸音 | D | G | B | D | F | A | B | D | F | A |
パターン | リヒター |
メジャーチューニングの3度が半音下がります。
ハーモニックマイナーの6度と7度の間のギャップを解決するために6度を半音アップしたものです。
吹音 | C | E | G | C | E | G | C | E | G | C |
吸音 | D | G | B | D | F# | A | B | D | F | A |
パターン | リヒター |
メジャーチューニングの5番のドローイング(下側)が半音上がります
セカンド・ポジションの中央オクターブで長7度を持つメジャースケールを利用できます。
メロディー、特にカントリーミュージックスタイルの演奏に適しています。
吹音 | C | E | G | C | E | G | C | E | G | C |
吸音 | D | G | B | D | F# | A | B | D | F# | A |
パターン | リヒター |
メジャーチューニングの5番と9番のドローイング(下側)が1半音上がります。
セカンド・ポジションの中オクターブと上オクターブで長7度を持つメジャースケールを利用できます。メロディーの演奏により適しています。
吹音 | C | E | A | C | E | G | C | E | G | C |
吸音 | D | G | B | D | F# | A | B | D | F# | A |
パターン | リヒター |
メジャー7thチューニングの3番のブローイング(上側)が1音上がります。
MelodyMaker™とも呼ばれるチューニングで、セカンド・ポジションで完全なダイアトニック・スケールを利用できます。
メロディーやダイアトニックの主要和音を演奏するのに非常に適しています。
吹音 | C | E | G | C | C | E | G | C | C | E |
吸音 | D | F | A | B | D | F | A | B | D | F |
パターン | クロマチック |
クロマチック・ハーモニカの典型的なチューニングです。
このチューニングと「スライド」機能を使用することで、「CCハープ」を小さなクロマチック・ハーモニカとして演奏できます。
吹音 | C | E | G | C | C | E | G | C | C | E |
吸音 | D | F | A | B | D | F | A | B | D | F |
パターン | クロマチック |
ソロチューニングよりも1オクターブ高いチューニングで、フルートなど正弦波に近いサウンドで口笛のような演奏に使用できます。
吹音 | C | E | G | B♭ | C | E | G | B♭ | C | E |
吸音 | D | F | A | B | D | F | A | B | D | F |
パターン | ユニファイド |
ソロチューニングで重複していたルート音の片方を短七度にしたものです。
ユニファイドな呼・吸パターンになり、ブルースやジャズ演奏に適しています。
吹音 | C | E | G | B | D | F | A | C | E | G |
吸音 | D | F | A | C | E | G | B | D | F | A |
パターン | ユニファイド |
ダイアトニック・スケールがブロー、ドローの順番に全てに割り当てられます。
「サーキュラー」とも呼ばれ、ダイアトニック・スケールとダイアトニック和音を演奏できます。
セカンド・ポジションはミクソリディアン・モードになります。
吹音 | C | E | G | B♭ | D | F | A | C | E | G |
吸音 | D | F | A | C | E | G | B♭ | D | F | A |
パターン | ユニファイド |
スパイラルチューニングの7度が半音低くなります。
ファースト・ポジションでミクソリディアン・モードを利用できます。
吹音 | C | E | G | C | E | G | C | E | G | C |
吸音 | D | G | B♭ | D | F | A | B♭ | D | F | A |
パターン | リヒター |
メジャーチューニングの3、7番のドローイング(下側)が半音下がります。
第 2 ポジションは、第 2 ポジションに慣れたプレイヤーなら簡単に演奏できるドリアン モードです。
吹音 | C | E | G | C | E | G | C | E | G | C |
吸音 | D | F | A | D | F | A | B | D | F | A |
パターン | リヒター |
メジャーチューニングの2番、3番のドローイング(下側)が1音下がります。
3rdポジションで、ベンディングを使うことなく低いパートのマイナー・スケールが得られます。
短調のメロディーやコード演奏に最適です。
吹音 | C | E | A | C | E | G | C | E | G | C |
吸音 | D | G | B | D | F | A | B | D | F | A |
パターン | リヒター |
メジャーチューニングの3番のブロー(上側)が1音上がります。
6度を得ることでペンタトニック・スケールを演奏しやすくなります。
アイルランド音楽やケルト音楽などのメロディック音楽の演奏に最適です。
吹音 | C | E | G | C | D | F | A | C | E | A |
吸音 | D | G | B | D | E | G | B | D | G | C |
パターン | ユニファイド |
5番より上のレイアウトを大幅に変更して、重要な音をベンドし易いドロー側(下側)に再配置することで、難しいオーバーブローを減らし呼・吸パターンもユニファイドに改良されます。
吹音 | C | E | G | C | E | G | A | C | E | A |
吸音 | D | G | B | D | F | A | B | D | G | C |
パターン | ユニファイド |
パワーベンダーの5、6番をリヒターチューニングに戻したものです。
リヒターとパワーベンダーの優れた部分を折中したチューニングになっています。
吹音 | C | E♭ | F# | A | C | E♭ | F# | A | C | E♭ |
吸音 | D | F | A♭ | B | D | F | A♭ | B | D | F |
パターン | ユニファイド |
オクターブあたり8音を全音-半音パターンで規則的に配置します。
半音のドローベンディングを組み合わせることで、クロマチック音階のすべての音を出すことができます。